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平成24年度 所得税の主な税制改正

前年の改正が、東日本大震災の影響とねじれ国会によって、決め切れずに終わったため、平成24年度の税制改正は、 平成23年度の積み残しへの対応を中心に改正が行われました。

税務署が発行する「書類平成24年分 所得税の改正のあらまし(国税庁)」から、平成24年度の主な改正内容と平成24年度から適用される事項について、フリーランス、個人事業主に関連する項目をピックアップしてお知らせします。

減価償却制度の改正

少額減価償却資産の特例措置が2年延長 【減税措置】

30万円未満の減価償却資産の取得価額(購入費用)を、全額取得した年の必要経費へ算入できる特例措置の適用期限が、2年延長されました。

【改正】 適用期限、平成26年3月31日まで2年延長

定率法の償却率の引き下げ

平成23年12月の税制改正において、減価償却の「定率法」の償却率が、次のように変更されました。平成24年4月1日以降に取得する資産に適用されます。

「250%定率法」から「200%定率法」へ償却率が引き下げられたことで、購入当初に経費にできる「減価償却費」の金額が少なくなります。

  • 平成24年3月31日までに取得 → 250%定率法 (「定額法」の償却率を2.5倍した償却率)
  • 平成24年4月 1日以降に取得 → 200%定率法 (「定額法」の償却率を2.0倍した償却率)
    ※償却率の改正に伴い、改定償却率及び保証率についても変更されます。
    税制改正

尚、経過措置として次のような特例があり、平成24年12月31日までの取得分については、従来の「250%定率法」を選択することができます。

  • 【経過措置/特例1】 定率法を採用している人が、平成24年4月1日~12月31日までの間に減価償却資産を所得した場合には、改正前の償却率で償却することを選択できます。特に届出する必要はありません。
    税制改正

  • 【経過措置/特例2】 平成19年4月1日~平成24年3月31日の間に取得して「定額法」を採用している減価償却資産について、確定申告期限までに「200%定率法の適用を受ける旨の届出書」を提出すれば、改正後の償却率を採用することができます。

    ※この特例を受ける場合は、該当する期間に取得した資産全てが対象になります。一部だけ適用を受けるということはできません。 ※減価償却費の計算は、改正耐用年数省令附則別表(経過年数表)を用いて、耐用年数を算出して行います。

    ※平成24年度において、調整前償却額が償却保証額に満たない減価償却資産については、均等償却により償却を行うこととなるため、この特例措置の適用を受けることはできません。

源泉徴収した所得税の納期に関する特例の改正

「納期の特例」の承認を受けている場合、7月~12月までの給与支払いから徴収した源泉所得税の納期限が、翌年1月20日へ変更になりました。

【改正】 7月~12月までの源泉所得税の納期限 翌年 1月10日→ 翌年 1月20日

また、給与所得者から提出を受けた扶養控除等申告書等を7年間保存することが義務づけられました。この改正は、平成25年1月1日以後に提出すべき申告書等について適用されます。

【関連情報】
書類源泉所得税の納付期限と納期の特例(国税庁)
書類給与所得者の扶養控除等申告書等の保存期限(国税庁)

所得控除の改正

医療費控除の改正

医療費控除の対象範囲に、介護福祉士による喀痰吸引等及び認定特定行為業務従事者(一定の研修を受けた介護職員等)による特定行為にかかる費用の自己負担分が加えられました。平成24年4月1日以後に支払う医療費から適用されます。

【関連情報】
書類医療費を支払ったとき(医療費控除)(国税庁)
書類医療費控除の対象となる医療費(国税庁)

所得控除: 生命保険料控除の改正 【減税措置】

平成22年度の税制改正で、「生命保険料控除」の控除対象となる限度額が、10万円から12万円に引き上げられました。平成24年分1月1日以後の保険契約に適用されます。

【旧契約: 平成23年12月31日以前に締結した保険契約】
一般生命保険料控除 5万円(限度額)
個人年金保険料控除 5万円(限度額) 合計限度額 10万円

【新契約: 平成24年1月1以降に締結した保険契約】
介護医療保険料控除 4万円(限度額)
一般生命保険料控除 4万円(限度額)
個人年金保険料控除 4万円(限度額) 合計限度額 12万円

税額控除の改正

税額控除とは、所得税額(支払う税金)から差し引かれるものです。

住宅減税の改正

  • 認定低炭素住宅特別控除の特例の創設
    地球温暖化対策の推進を目的とする「都市の低炭素化の促進に関する法律」が制定されました。これに伴って、平成24年又は平成25年に、CO2削減に寄与する「低炭素住宅」を取得して居住した場合は、住宅ローン控除額の拡充及び登録免許税の軽減など、「住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除」の適用が受けられことになりました。

    また、所得税から引ききれない場合には、翌年度の住民税からも控除できます。住宅借入金の年末残高の限度額及び控除率は、次のとおりです。

    居住年 控除期間 住宅借入金等の年末残高の限度額 控除率 最大控除額
    平成24年 10年間 4,000万円 (一般3,000万円) 1.0% 40万円
    平成25年 10年間 3,000万円 (一般2,000万円) 1.0% 30万円
    ※「都市の低下炭素化の促進に関する法律」施行の日以降に居住した場合に適用されます。住宅ローン控除額の拡充については平成25年12月31日の入居まで、登録免許税は平成26年3月31日までになります。
    税制改正
    ※国土交通省報道発表資料より引用。

  • 長期優良住宅新築等特別税額控除が2年延長
    これは、認定長期優良住宅を新築又は購入した場合に税額控除が受けられる特別措置で、住宅ローンを借りなくても所得税額控除を受けられるものです。

    控除の上限額が50万円(前年までは100万円)に引き下げられたうえで、適用期間が2年間延長されました。

    【改正】 税額控除の上限額 100万円 → 50万円
    適用期間 平成24年1月1日~平成25年12月31日まで(※2年延長)

    認定長期優良住宅において、次の特例措置についても2年延長されました。

    登録免許税の軽減税率
    不動産取得税の課税標準控除額の特例
    固定資産税の新築住宅特例

    ※一戸建て住宅の所有権移転登記に対する軽減税率は、前年度までの0.1%から0.2%へ引き上げられ、軽減幅が縮小されました。

【関連情報】
書類認定長期優良住宅の新築等をした場合(国税庁)
書類長期優良住宅の認定基準(国土交通省)
書類長期優良住宅に関する税の特例(国土交通省)

税額控除の改正

電子申告(e-Tax)の特別控除額の引き下げ

平成23年度の税制改正で、電子証明書等特別控除(e-Taxで申告すると控除)の適用期限が2年延長されました。控除額が最高5,000円から段階的に引き下げられ、平成24年分は以下の金額になります。控除を受けられるのは、1回のみになります。

【改正】 平成24年分 → 最高3,000円

 

東日本大震災の復興に係る措置

復興特別所得税の創設

東日本大震災からの復興を図るための財源を確保する特別措置法の成立を受けて、復興特別所得税が創設されました。所得税額に対して、2.1%の付加税として課せられます。

【課税期間】 平成25年分 ~ 平成49年分 (25年間)
【税  額】 基準所得税額(※) × 2.1%

※基準所得税額: 全ての所得に対する所得税額。外国税額控除の適用がある方については、外国税額控除額を控除する前の所得税額となります。

平成25年分から平成49年分までの確定申告については、「所得税」と「復興特別所得税」をあわせて申告することになります。

住民税については、均等割の税額が年額1,000円引き上げられ、年額5,000円になります。

【課税期間】 平成26年度 ~ 平成35年度 (10年間)
【税  額】 住民税の均等割4,000円 → 5,000円/年

【関連情報】
書類個人の方に係る復興特別所得税のあらまし(国税庁) 
書類復興特別所得税の源泉徴収(国税庁)

震災特例法の改正

震災特例法により、平成23年3月11日から平成25年12月31日までの間に行った震災関連寄附金について、次のような措置が講じられています。

  • 震災関連寄附金の寄附金控除の限度額: 総所得金額の80%まで
  • 認定NPO法人、共同募金会連合会へ震災関連寄附金を行った場合: 寄附金額が2,000円を超える金額の40%まで(所得金額の25%を限度とする)、所得税額から控除されます。
    前掲の寄附金控除の創設の項を参照してください。

【関連情報】
書類東日本大震災に係る義援金等に関する税務上(所得税、法人税)の取扱いについて

 

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