平成20年度 所得税の税制改正
事業所得の計算、確定申告の所得控除、税額控除に分けて、改正点をまとめました。減価償却資産の特例(30万円未満であれば全額を一括経費OK)が、2年間延長されました。
事業所得の計算に関する改正事項
青色申告の特典として、30万円未満の減価償却資産は、全額を経費にすることができます(中小企業者の少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入の特例)。この特例の適用期限がさらに2年延長されました!
これは、平成15年の税制改正で創設された特例制度で、適用期間内に取得した30万円未満の減価償却資産を合計300万円を限度(平成18年の税制改正で改正)として、一括経費にできるというものです。ただし、この特典を受けられるのは、青色申告者に限ります。特例制度の目的は、設備投資する中小企業者に対する優遇措置ということになります。この適用期間が、平成20年4月1日から平成22年3月31日までの2年間延長されました。
所得控除に関する改正事項
確定申告書に、所得から差し引かれる金額として各種の所得控除が設けられています。その中の医療費控除と寄付金控除が以下のように改正されました。
- 医療費控除の対象にメタボ改善費用が追加
特定健康診査(メタボ検診)の結果、特定保険指導を受けることになった場合は、それに係る費用が医療費控除の対象に加えられました。対象になるのは、保険指導を受けるための検診費用のみで、保険指導に従って運動や食事の改善にかかった費用は対象外になります。 - ベンチャー企業への投資が寄附金控除の対象に
平成20年4月1日以降に、法律に規定されるところの特定新規中小企業に該当する株式会社の株を取得した場合、1,000万円を限度として、寄附金控除の適用を受けることができることになりました。創業期のベンチャー企業への投資を、促進するために設けられた優遇措置になります。ただし、控除を受けた場合は、株を売却する際に、株の取得価額から寄附金控除額を差し引かなければなりません。
【関連情報】
■国税庁タックスアンサー
No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
No.1150 一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)
税額控除に関する改正事項
税額控除とは、(確定申告書の税金の計算で)課税所得金額に税率を掛けて算出した所得税額から差し引かれる控除のことです。
- 住宅ローン減税の適用対象に、省エネ改修工事が追加
省エネ改修工事が、住宅借入金等特別控除の適用対象に加えられました。省エネ改修工事とは、窓の改修工事や床や天井、壁の断熱工事などになります。住宅ローンを利用して、平成20年4月1日から平成20年12月31日までの間に改修工事を行った場合、一定の要件を満たすと「特定増改築等住宅借入金等特別控除」を受けられます。控除期間は5年間です。
必要経費の範囲や所得控除、税額控除は、節税ポイントになります。特に開業年の方は、確定申告書を作成する前に、該当するものがないか一通りチェックしておきましょう。
【特定増改築等住宅借入金等特別控除の関連資料/国税庁】
省エネ改修工事の適用要件について
住宅借入金等特別控除を受けられる方へ
特定増改築等住宅借入金等特別控除を受けられる方へ
■国税庁タックスアンサー
No.1200 税額控除
No.1210 マイホームの取得等と所得税の税額控除
No.1219 省エネ改修工事をした場合(住宅特定改修特別税額控除)
No.1225 住宅借入金等特別控除の対象となる住宅ローン等