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平成19年度 所得税の税制改正

減価償却制度が大改正されました。購入年月によって償却方法が変わります。青色申告決算書の記入方法も変わりますので、注意が必要です。節税としては、電子申告をすると、5,000円の税額控除が受けられます。所得税と住民税の税率の改正が今年から実施されますので、変更内容を理解しておきましょう。

減価償却制度が改正され、減価償却費の計算方法が変わります!

10万円以上の什器備品・機材、車、家などを購入した場合は、減価償却資産として、耐用年数に応じて、1年毎に失っていく資産価値(減価償却費)を計算して、経費に繰り入れていきます。今回の税制改正で、この計算方法が大幅に変わります。変更ポイントは、以下の通りです。

これまでは、耐用年数が経過しても、帳簿には残存価額(5%)が残り、破棄(除却)するまでは費用にすることができませんでした。しかし、今回の改正で、残存価格、償却可能限度額が廃止され、購入金額の全額を(備忘価額の1円を残して)費用化できることになりました。

※新ルールは、平成19年4月1日以降に購入したものに適用されます。
※改正前(平成19年3月31日迄)に購入したものは、旧ルールに従って計算しますが、償却可能限度額(購入金額の95%)まで償却した翌年から5年間で残り5%の残存価額を均等償却できます。既に、購入金額の95%まで償却済みの資産については、本改正が適用される平成20年分より向こう5年間で均等償却を行います。

新ルールによって、定額法、定率法の償却率や計算方法が変更になりました。減価償却費を計算する際には、注意が必要になります。

定額法の計算はシンプルですが、節税効果の高い定率法を採用しようとすると、一定の計算方法ではなくなったため、少々面倒になりそうです。

新たな償却方法の詳しい内容は、ダウンロードソフトに同梱されている以下のマニュアルをご参照ください。
平成19年度税制改正による 減価償却制度の改正対応マニュアル

【関連情報】

■国税庁タックスアンサー
No.2105 旧定額法と旧定率法による減価償却 (平成19年3月31日以前に取得)
No.2106 定額法と定率法による減価償却 (平成19年4月1日以後に取得)

e-Tax(電子申告)すると、5,000円の税額控除が受けられます

確定申告書の提出期限内にe-Tax(国税電子申告・納税システム)を使用して申告書の提出を行うと、所得税から5,000円控除されます。税額控除ですから、経費に換算すると10万円分に相当します(所得税5%で計算)。

電子申告するには、電子証明書の取得や税務署への手続き、電子申告をするパソコンの動作環境などが事前準備に必要になります。詳しくは、国税庁の専用サイトをご覧ください。コチラのサイトから、オンラインで「e-Taxの開始届出書」の提出が行えます。

適用期間は、平成19年分と20年分の確定申告に限られます。税額控除を受けられるのは、初回の1回のみになります。

加えて、電子申告を促進するために、申告の際に税務署へ提出(または提示)が必要だった以下の書類について、省略できるようになりました。しかし、原則として、申告期限から3年間、それらの書類の保管が必要です。

  • 医療費の領収書等
  • 社会保険料の支払証書
  • 小規模企業共済等掛金の支払証書
  • 姓名保険料及び個人年金保険料の支払証書
  • 地震保険料の支払証書
  • 給与所得、退職所得及び公的年金の源泉徴収票
  • 特定口座年間取引報告書

地震保険料控除が今年からスタート!

昨年の税制改正で新設された「地震保険料控除」が、今年の所得から適用となります。所得控除は、来年3月の申告から、住民税控除は、来年の徴収分からです。控除額は、所得税で最大5万円、住民税で最大2.5万円となります。それにともなって、従来の「損害保険料控除」(短期・長期)は廃止されます。

※平成18年12月31日までに契約した「長期損害保険契約」については、経過措置として従来の「損害保険料控除」が適用されます。短期損害保険料の控除(3千円)は、平成18年12月31日で廃止されました。

事務所に使用している自宅を耐震工事した場合、一定要件を満たすと、その費用が所得控除されます。

今年から、住民税が上がる!

昨年の税制改正で、国から地方への税源移譲がなされ、所得税と個人住民税の税率が変わりました。いよいよ今年から、実施されます。以下の表の通り、住民税の税率が上がった分は所得税を下げて調整するため、基本的には<±0>になる、ということになっています。

※住民税の税率は、「所得割」の税率です。

しかし、源泉徴収される所得税(10%)はそのまま天引きされ、住民税は、昨年の課税所得金額へ新税率をかけたものが、今年支払う税金として請求されます。ということで、負担感が先にやってきます。この増税分は、来年3月の19年分の所得税の確定申告の際に調整されることになります。

今年から来年にかけて、住民税、所得税の金額がどう変わるか、チェックする必要があります。 
昨年と今年の売上がそう変わらず、住民税と所得税でうまく<±0>できればよいのですが、なんらかの事情で今年の売上が下がってしまい、調整(減額)する所得がなくなった(所得税がかからない)場合は、所得税から差し引けないため、住民税のみが負担増になってしまいます。また、所得税は、扶養控除や配偶者控除などの「所得控除」を差し引いた金額が課税対象となっています。一方、住民税には、それらの控除がありません。従って、税率を調整しても、税負担は増えてしまいます。

運用面では、色々と支障がでてきそうです。そこで、これらの税源移譲による税負担増を是正するために、減税措置(住民税を減額する調整控除)や経過措置(改正前の税率による税額まで減額)が設けられています。

※年度間で所得変動があり、経過措置の適用を受ける場合には、平成20年7月1日から平成20年7月31日までの間に申請書の提出が必要になります。詳しくは、納税地の税務署へ確認をしてください。
※住宅ローン控除を受けている方への調整措置については、コチラを参照ください。適用を受ける場合は、申請書の提出が必要となります。

所得税も上がる!?

税源移譲による増税が起こらないように、以上のように配慮がなされるようです。しかし、「定率減税」が、所得税、住民税ともに今年から全廃されるので、結局、所得税は税率が下がるといいつつも、結果的にはトータルで増税となります。

では、どのくらい?

課税所得が18・19年ともに500万の場合

【昨年】
所得税=500万円×旧税率-6.7万円(定率減税10%)=60.3万円
住民税=500万円×旧税率-2万円(定率減税7.5%)=38万円

【今年】
所得税=500万円×新税率=57.25万円
住民税=500万円×新税率=50万円

※住民税は、所得割のみの金額です。

課税所得500万円のケースで試算すると、税率が下がったにもかかわらず、定率減税分が所得税額を押し上げてしまいます。すると、今年度は、住民税が増税された分の負担感は解消されない(所得税で調整されない)まま、昨年と比較すると、約9万円の増税ということになってしまいます。

以上、今年から実施される税制の変更点と19年度の税制改正のポイントです。税源移譲により、今年の住民税と来年の所得税が大きく変わりますので、金額チェックを忘れずに行いましょう。定率減税が無くなる分、今年度は、結果的に増税となります。できる節税対策は、しっかりとやっておきましょう!

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