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令和3年度 電子帳簿等保存法の改正

2022年1月4日 更新

経済社会のデジタル化を踏まえ、電子帳簿保存制度の抜本的な見直しが行われ、令和3年度の税制改正において、電子帳簿保存法の内容や手続きが大幅に簡素化されました。

改正内容は、「①電子帳簿等保存 / ②スキャナ保存 / ③電子取引」と、3つの区分になりますが、本ソフトのご使用に関連する改正内容 となる ①と③ について、ご案内いたします。

電子帳簿の保存について

電子帳簿で保存するには、国税庁が定める要件をクリアした会計システム(検索・訂正削除履歴の機能付 など)を使用し、税務署への事前承認が必要でした。これが、以下のように緩和されました。

【改正前】 税務署への事前承認/検索・訂正削除履歴の機能を備えた会計システムのみ認可。
【改正後】 事前承認を廃止/最低限の要件を満たせば、電子データでの保存が可能。 電子データを改ざんするなどの不正に対して、重加算税が10%を加算。
【適 用】 令和4年1月1日以後に備え付ける帳簿から適用されます。

改正によって、以下「最低限の要件」を満たすと、本ソフトで作成いただいた決算データを、<令和4年分>の帳簿から、電子データのまま保存いただけるようになります。

ただし、「過少申告加算税を5%に軽減」と「青色申告特別控除 65万円」の優遇措置は、従来の会計システム(優良な電子帳簿システム ※)のみが対象になります。本ソフトで、65万円控除の適用を受けるには e-Tax での確定申告が必要になります。

※優良な電子帳簿システムとは、検索・訂正削除履歴の機能 他 従来の要件を全て満たす会計システムになります。

「最低限の要件」とは?

要件は次のようになります。つまり、税務調査などが実施される際に税務署員から求められた時は、『速やかに電子帳簿の記録データを提示またはダウンロードできるようにしておく』ということになります。

  • 正規の簿記の原則(複式簿記)に従って記帳されていること
  • 会計システム関係書類(システム概要書、システム仕様書、操作説明書、事務処理マニュアル など)を備え付けること
  • 帳簿データの保存場所に、パソコン、モニター、プリンターとこれらの操作マニュアルを備え付け、速やかに表示・出力できるようにしておくこと
  • 税務職員から求められた時は、電子帳簿の記録データのダウンロードができるようにしておくこと

本ソフトで作成いただいた決算データを電子データで保存いただくには、次の準備が必要になります。

  1. 会計システム関係書類(システム概要書・仕様書、操作説明書 など)を備え付ける
    ⇒ 「システム関係書類」は、<令和4年分>から、ダウンロードフォルダ内に同梱されます。帳簿ファイルと同じ場所に保存してください。
    ⇒ 「操作説明書」は、サポートサイトに掲載の「オンライン操作ガイド」が該当いたします。
  2. 帳簿作成に関する「事務処理マニュアル」を策定して、経理処理を実施する
    ⇒ 内容について、サンプルが「電子帳簿保存法一問一答/国税庁 」の P.10 に掲載されています。
  3. 帳簿データの保存場所に、パソコン、モニター、プリンターとこれらの操作マニュアルを備え付け(※)、表示・出力できるようにしておく
    操作マニュアルは、 入出力要領など具体的な操作方法が記載され、速やかに画面に表示またはプリントアウトできれば、オンラインマニュアルやオンラインヘルプでも認められます(電子帳簿保存法/国税庁/問8より)。

電子取引について

改ざんを防止するため、「電子取引」に関する改正がありました。経理関係書類の保存方法が変わりますので、全員が対象になります。「電子取引」の範囲を確認して、<令和4年分>から対応(※)が必要になります。

【改正前】 電子データを印刷して、紙で保存できる。
【改正後】 電子データの状態で保存。紙へ印刷して保存を廃止。
        ※紙で受け取る経理書類は、従来通り、紙のまま保存します。
【適 用】 令和4年1月1日(※)からの電子取引より適用されます。

適用時期について、「やむを得ない事情 」がある場合は、宥恕措置として、令和6年1月1日まで2年間猶予されることになりました(「電子帳簿保存法取扱通達の制定について」の一部改正について(法令解釈通達))。 やむを得ない事情とは、電子取引情報を保存するシステムや社内のワークフローの整備など、準備期間の不足により、対応が困難な企業を想定したものになります。

「電子取引」とは?

「電子取引」とは、インターネットを介した取引や電子メールにより取引情報(※)を授受するものをいいます。
※取引情報とは、見積書、発注書、請求書、領収書、契約書 その他これらに準ずる経理書類です。

電子取引には、次のようなものがありますが、改正後は、定められたルールに従って、電子データのまま保存が必要になります。紙へプリントアウトして保存したものは、認められなくなりますので、注意してください。

・インターネットのサイトからダウンロードした請求書や領収書(PDFファイルなど)
・クレジットカード会社のサイトからダウンロードした利用明細データ
・交通系ICカードによる支払データ
・取引情報が記載された電子メール
・電子メールへ添付された取引情報のファイルデータ 他

電子データの保存方法

電子帳簿の保存と同様に、次のような保存要件が定められています。フリーランスや個人事業者など小規模事業者は、要件が緩和されています。

  1. 訂正削除の防止に関する「事務処理規程」を策定、備え付けて、適切にデータを管理する ※帳簿保存の「事務処理規程」と同じ。
    国税庁のサイトから、「事務処理規程」のサンプルを、ダウンロードできます。
  2. 電子取引データのファイル名へ「日付_取引先名_金額」を記載して保存。
    ファイル名で検索できるようにする。 
    例:「20220110_(株)〇〇_110,000」
    ※「_」は、アンダーバーです。金額は、帳簿と同じ金額を記載します。
    データ数が多い場合は、取引先名や月別にフォルダを作成すると、検索しやすくなります。
  3. 上記の2.の代わりに、「索引簿」を作成し、受領した請求書等データのファイル名に連番を付して、内容については索引簿で管理する方法も可能です。
    国税庁のサイトから、「検索簿」の作成例を、ダウンロードできます。
  4. 電子取引データの保存場所に、パソコン、モニター、プリンターとこれらの操作マニュアルを備え付け、表示・出力できるようにしておきます。

電子データの保存先について

電子帳簿保存法では、保存先を限定する規定はないことから、 取引データの保存媒体については、任意に選択できます。

また、バックアップデータの保存については、法令上の要件にはなっていませんが、パソコントラブルによるデータの消失や誤ってデータを削除するなど、保存データが無くなる危険性がありますので、パソコン以外へバックアップデータを保存されることをおススメいたします。

【関連情報/国税庁】
書類電子帳簿等保存制度特設サイト
書類電子帳簿保存法が改正されました
書類電子取引データの保存方法をご確認ください(令和3年12月改訂)
書類電子帳簿保存法一問一答 お問合せの多いご質問(令和3年11月)
書類電子帳簿保存法一問一答/帳簿書類
書類電子帳簿保存法一問一答/スキャナ保存
書類電子帳簿保存法一問一答/電子取引